親のようにはなりたくない
自分は絶対あんな風にはならない
そう強く思えば思うほど、なぜか親のような性格になったり人生を歩んでしまいます。
あなたも気づいたら親のような性格になっていた、親と同じような言動をしていた、親と似た人生を歩んでいたと思い当たることがあるかもしれません。
以下はある男性の話で、実話です。
彼は小さいころ、父親から虐待を受けて育ったそうです。
だから父親が嫌いで「絶対に父親のようになりたくない」とよく言っていました。
自分に子供ができたら絶対に虐待などせずに愛情をもって育てると言っていました。
虐待のニュースを見て悲しみ、世の中から虐待をなくしたいと涙ながらに語っていたこともありました。
やがて彼は結婚して子どもが生まれました。
子どもが生まれてすぐに、奥さんと子どもに精神的な虐待をして離婚しました。
このように、絶対に親のようになりたくないと思っているのに、親と同じことをしたり、親のような人生を歩んでしまうことが往々にしてあります。
なぜ「親みたいになりたくない」と思うほど親のようになってしまうのか、
親のようにならないためにはどうすればよいのかについてお伝えします。
「親みたいになりたくない」と思うほど親のようになってしまう理由
「親のようになりたくない」と強く思うほど、親のようになってしまうのは、私たちの脳の仕組みにあります。
脳は強く意識したものになろうとする
脳は強く意識したものになろうとします。
「親のようになりたくない!」と強く思うたびに、酷い親を強くイメージしていることになります。
脳は否定形を理解できないので、酷い親のイメージだけが残り、脳がそうなろうとして無意識に行動してしまうのです。
次の文章を心の中で何度か読んでみてください。
梅干しを食べているところを絶対に想像しないでください
梅干しを意識してしまい脳が反応して唾液が出てきたと思います。
このように否定しても、意識したことに脳が反応してしまうのです。
なりたくない=そうなってしまうのではという恐れがある
「親みたいになりたくない」と思うのはどのような人でしょうか?
それは自分も親みたいになってしまったら嫌だと抵抗し、恐れている人です。
そうでなければ、親のようになりたくないと思わないからです。
親のようになりたくないと思うほど、自分も親のようになってしまうのではないかという思いを強化します。
だから脳は無意識のうちに親のような性格になったり親のような人生を歩んでしまうのです。
否定的なセルフイメージを持ってしまっているから
あんな親になりたくないと思うほどの毒親に育てられた人は、自己重要感が低く自己否定や劣等感が強くなってしまいがちです。
親から否定され、怒られ、疎まれ、無視されたりして育つと
- 自分は価値がない
- 自分はダメでの価値な人間だ
- 自分は疎まれ無視され見捨てられる
- そのままの自分では愛されない
- 幸せになってはいけない
といった信じ込みやセルフイメージが無意識に入ってしまっていることが多いです。
脳はセルフイメージや信じ込みにあった振る舞いをしたり現実を呼び寄せようとします。
「そのままの自分は愛されない」と思っていたら、
- 脳が、人から愛されないひねくれた言動をさせる
- 人の愛を信用できず裏切られたと感じる
- 他人の些細な言動を、自分は愛されてないと受け取ってしまう
- 無理に自分を作ったり、自分を犠牲にして尽くすことで愛されようする
- そのままの自分を愛してくれる人を気持ち悪く感じて拒絶してしまう
このような言動をしてしまいます。
あなたが親から愛されなかったのなら、親もまたその親から愛されていなかった可能性が高いです。
そして、そのような信じ込みと言動が親から子に連鎖して親と同じような人生を歩んでしまうのです。
脳が親のような性格や人生をモデルとして学習してしまうから
人は幼少期に親の人となりや生活習慣などを見て、人間とは人生とは家族とはこのようなものと学習します。
こんな女性の方がいました。
彼女は付き合う男性がいつもダメ男ばかりで、辛い恋愛ばかりしていました。
なぜかダメ男ばかり好きになったり寄ってくる、嫌なのに離れられないといった辛い恋愛を繰り返していました。
彼女の父親は、ろくに働かず生活費を入れず、母親が働いて得たお金を酒やギャンブルなどに使っていました。
彼女は母親からいつも父親の愚痴や文句、自分がいかに苦労させられているかなどを聞かされて育ちました。
そして、彼女の無意識に「恋愛や結婚とは女性が男性に振り回され、我慢して苦労するもの」と学習してしまったのです。
脳がその信じ込み通りに、ダメ男を好きになったり呼び寄せていたのです。
ダメ男の方も、彼女が貢いだり身の回りの世話をしてくれる都合のいい女だというのを察知して寄ってきていたのです。
彼女は心理ワークで無意識に入ってしまっている恋愛や結婚に対する信じ込みを解消したことで、普通の男性と恋愛ができるようになりました。
無意識に親の価値観を受け入れてしまうから
子供は親を見て育ちます。親から言われたこと、教育、態度、生活習慣などから親の価値観をそのまま受け入れてしまうことがあります。
例えば、家が貧乏でいつもお金に苦労していて「お金とと嫌なこと我慢してやっと得られるもの」と言われたり親がいつも苦労していると
脳がそれを自分の価値観として自分の人生にも適用してしまいます。
無意識に、嫌なことを我慢して安月給という仕事についたり、働いてもお金が貯まらずに親のようにお金に苦労する人生を歩んでしまいます。
愛や幸せをゆがんだ形で学習して親と同じことをしてしまっていた女性
親の言動や教育で、愛や幸せなどの定義をゆがんだ形で誤って学習してしまっていることもあります。
こんな女性の方がいました。
自分の子供に愛情を注ごうとすると暴力を振るってしまうのだそうです。子供を愛していないのではなく、愛そうとすると手が出てしまうのだそうです。
彼女は小さい頃に父親から暴力を受けていました。
父親は暴力を振るいながら「これはお前を愛しているからやっているんだ、お前に立派になってほしいから愛の鞭だ」などと言われながら叩かれたそうです。
彼女の脳が、愛情=暴力だと学習してしまっていたのです。
それで、子供に愛情を注ごうとすると無意識に手が出てしまっていたのです。
心理ワークでこの信じ込みを解消し、愛情に対する定義や意味付けを変えたところ、子供に対して手をあげることがなくなり愛情を注ぐことができるようになりました。
親みたいにならないためにはどのようにすれば良いか
親に対する精神的な呪縛を解く
親を嫌って憎み、怒りの感情を持っていると強く意識していることになるので、気づいたら自分も親のようになってしまいます。
親に対する、恨み、憎しみ、悲しみ、怒り、失望感、無力感
これらの心の中に抑圧されている未完了の感情を解消します。
これらの感情が未完了のままになっているから、親の事を考えるといかりや憎しみが湧いてきて親のようになりたくないと思ってしまうんですね。
未完了の感情が解消されれば、親に対してどうでもよくなって意識が向かなくなってきます。
そうすることで親への呪縛が解かれて、自分の人生を生きることができるようになります。
まずは親に対する怒りや憎しみなどの気持ちを、否定したり押さえつけたりせずに正直にそのまま吐き出します。
これは紙に書き出すのが一番良いです。
親に対する怒りや恨みや愚痴や文句や言いたいこと、出てくるままどんな汚い言葉でもドロドロしたものでも良いので、そのままを紙に書きなぐります。
こんなことを思ってはいけないと制限するとそれが抑圧されて残ってしまうので自分の本音を正直に書き出します。
次に「自分はこのように感じていたのか、親にあんなことされたんだから当然のことだよ」認めて受け入れてあげます。
そして「今までよく耐えてきた、十分頑張ってきたよ」とずっと苦しんできた自分を、いたわってあげましょう。
その上で親に対する脳内イメージを変えたり、信じ込みを手放して行きます。
心理ワークで
- 当時の親と会話する
- 親に言えなかったことを言う
- 気が済まないのであれば、イメージの中でやり返したりやっつける
- 話し合って和解する
- 親がなぜそうしたのかという心理背景を探る
- 親との記憶を内容を書き換える
- 親との記憶についている意味付けをポジティブなものに変更する
- 親との記憶を重要度を下げ無力化しする
自分が納得いく内容でこれを言ったことを行うことで、あなたの中で親に対する認識が変化し、親の呪縛の鎖を断ち切ることができます。
親に対する未完了の感情や、親との記憶を処置して、親の呪縛を断ち切るワークのやり方はこちらの記事を参考に実践してください。
幼少期に親に植え付けられた信じ込みや価値感を解消する
幼少期に親に植え付けられた、自分を縛ったり、我慢させたり、本来の自分がやりたいことを制限するような価値観や人生観などは手放してしまいましょう。
もし、自分も親のような性格になってしまっている、親と似た人生を歩んでしまっていると感じたら、その裏には幼少期に親に植え付けられた価値観や人生観に従って脳が行動してしまっていることが考えられます。
- お金は嫌なことを我慢してやっと得られるもの
- 幸せは簡単には得られない、幸せの後には不幸がやってくる
- 人生は我慢や苦労の連続だ
- みんな苦労しているんだから自分だけ楽をしてはいけない
- 愛とは自分を犠牲にして人に尽くすことだ
- 男性とは、女性とはこうあるべき
- 真面目で立派で良い子でいなければならない
なぜか頑張ってもうまくいかない、苦労や辛いことばかり、という場合は、このような親の価値観や人生観を無意識に受け入れてしまっているのかもしれません。
自分に必要のない価値観や人生観は手放してしまいましょう。
苦労、我慢、困難ばかりの環境に身を置いたり、不幸な人生を選んでしまうような思い込みや価値観を書き出してみましょう。
本当の自分として、どういった価値観で今後の人生を生きたいのかを書き出します。
例:愛とは自分を犠牲にして相手に尽くすこと → 愛とは対等な関係でお互いを大切にすること
そして、次のように書き出して、声に出して宣言してください。
「私は今まで、愛とは自分を犠牲にして我慢して相手に尽くすこと、という信じ込みを持っていて、自分を犠牲にして人に尽くす人生を歩んできました。そのことを認めます。そしてこれからは、愛とはお互い対等な関係で思いやること、と言う価値観を受け入れそのような人生を歩みます」
自分が手放したい価値観と、受け入れたい価値観を書き出して宣言してください。
古い価値観が残ってるなと思ったら、繰り返し宣言してみてください。新しい価値観が定着するまで、紙を枕元に置いておいて朝起きた時と寝る前に5回とか10回ずつ宣言するということもおすすめです。
なりたい人間像に意識を向ける
親のようになりたくないではなく、こうなりたいと思う人間像や人生に意識を向けましょう。
自分がこうなりたいと思う人間像や人生を書き出して、そうなっているところをイメージしてみましょう。
夫と子どもといつも笑顔で楽しく温かい家庭を築く
なら
それを達成している自分はどんな自分か
どんな価値観で生きているか
どんな感覚や感情を味わっているか
それをすでに達成した場面をイメージして、その時の喜びや安心感、愛などの満たされた感情に実際に浸ってみましょう。
自分がなりたいイメージを常に意識していると、脳はそれを実現するための性格、人格になろうとしたり、必要な情報、ご縁、人、出来事、物などを引き寄せようとして働きます。
そのようなことを叶えるのに自分は相応しくない、無理だと感じてしまう場合は、自己重要感や自己肯定感を養いましょう。
自己重要感を養う
親に否定されたりして育った人は自己重要感が低くなってしまっています。
自己重要感が低いと、我慢してしまったり人目を気にしてしまったり、偽りの自分を演じてしまいます。
そしていつのまにか親のような人生や、親が望む人生を送ってしまいます。
例えば、親に立派で真面目でいい子でいることを強要されて、いい子でいないと怒られて拒絶された
そうすると真面目でいい子でいないと自分は愛されない、拒絶されると思い込んでしまいます。
親以外の人に対しても真面目でいい子でいないと拒絶されてしまうと感じて、本当の自分を押し殺して我慢して真面目でいい人を演じる人生になってしまいます。
それは自分が決めた人生ではなく、親と同じ人生、親の言いなりになりの親が望む人生を歩むことになってしまいます。
ですので自己重要感を養って本来の自分に戻り、自分の人生を取り戻しましょう。
自己重要感とは、真面目でいい子でいなくても、そのままの自分でいていい、そのままの自分で価値がある、ここいいていい、生きていていいと心から思えている状態です。
そうすると本来の自分として、自分が望む人生を歩めるようになります。
自己重要感を養うにはこちらの記事を参考にしてください。