あの時あんなことがなければ、あんな親の元に生まれなければ、あの学校に行ってあいつに出会っていなければ、今の自分の自分や人生はもっと違っていたはずだ、このように思った事はないでしょうか。
あなたはあの過去の体験のせいで、今自分がこのような状態になっている、と信じていると思います。
過去を変える(記憶や記憶に対する認識を変える)ことで、過去の体験の影響から自由になり、新しい自分と人生を作るための方法を解説します。
過去が変われば、現在、未来が変わっていきます。物理的な現象として変わる場合もあれば、物理的に変わらなくても精神的に変わる場合もあります。
あなたの人生は過去の記憶で作られている
今のあなた(性格、考え方、行動パターン)と、今あなたが経験している人生は、過去の記憶によって作られています。
「過去にあのようなことがなければ今の自分は違ったはずだ」、このような言葉が出ることからも分かると思います。あのようなことがなければ=あの体験の記憶がなければ、なんですね。記憶を消されて忘れてしまっていたとしたら、体験していないのと同じだから影響を受けないからです。
治らない怪我をしたなど、物理的に変えられないこともあります。
ですが、過去の体験への意味付けや受け取り方、記憶の内容や重要度、過去の体験の記憶からくる心理的影響はなくすことができます。過去の体験の呪縛から自由になり、新しい人生を作っていくことができます。
過去の体験の記憶により、ある信じ込みを持ってしまい、人はその信じ込みに基いて行動をします。その信じ込みに基いた行動の積み重ねが今の人生です。
例えば、中学生の時にクラスで打ち解けられず孤立してしまったとします。
すると、大人になっても「自分は消極的で暗い人間だ、誰も自分を受け入れてくれない(なぜなら中学生の時に孤立したという記憶があるからだ)」などの信じ込みを作り続けます。すると、自分は消極的で暗い人間だという信念どおり人前に出るとオドオドして話せなくなったり、どうせ誰も受け入れてくれないと人前を避けてしまうといった行動をするようになります。
中学生の時にクラスで打ち解けられず孤立してしまった
これは単なる記憶(データ)です。今現実にそれがあるわけではありません。
自分は消極的で暗い人間だ という信念も、記憶に対する意味づけから信じ込んでいるだけにすぎません。実際には”消極的で暗い人間”ではありません。その信じ込みがあるから脳がデータ通りに現在消極的で暗い人間としての振る舞いをさせているだけにすぎません。
だから、記憶(データ)を変化させてしまえば、過去が変わります。人の性格や言動は、記憶=過去から作られているので、過去の記憶を変えれば今が変わります。
中学生の時にクラスに打ち解けられず孤立してしまった というデータが書き換わる、意味づけが変わる、のでそういったデータなくなるからです。だからその記憶から作られた、自分は消極的で暗い人間だ、誰も自分を受け入れてくれない、という信念もなくなります。(その記憶の影響で体験した同種の記憶も変化させることが必要な場合もあります)
脳は、実際に体験しているかどうかにかかわらず、心の底から信じこむとそれが自分にとっての真実として受け入れます。
だから、実際に体験していないことでも脳にとって体験したということにできます。オリンピック選手が時間をかけてイメージトレーニングするのはこの効果を狙っているからですね。
逆に、実際に体験したことでも脳にとって体験していないことにもできます。
記憶を変化させると言っても、記憶の内容そのものを変化させるだけではなく様々な変化のさせ方があります。
・記憶の内容を変化させる
・記憶を無力化させる
・記憶に対する認識や受け取り方を変える
このようなことをすることで脳にとって記憶=過去が変わったことになります。そうすれば過去の体験に縛られることなく新しい自分を作り上げていくことが可能になります。
記憶の内容を変化させる
これはイメージワークを使って記憶を内容に変化させてしまいます。記憶の体験を、今の成長した自分、冷静な自分、なんでもできる自分としてやり直します。
そうすると、脳にとって新しく置き換えた内容が事実となっていきます。
記憶を無力化させる
あなたにマイナスの影響を与えている過去の記憶というものは、「この記憶はとても重要である」というラベルが貼られて記憶されています。
だからそのような記憶は何年も前の事でもいつまでも覚えていると思いますし、その記憶を思い出したり、似たような場面になると瞬時にその時の感情が甦ってくると思います。
逆に、日常の歯を磨いたとか散歩したみたいなすぐに忘れてしまったり、思い出してもなんとも思わない、重要でない記憶もたくさんあります。
マイナスの影響を与える重要とされている記憶を処置することで、日常の歯を磨いた、買い物に行ったとかすぐに忘れてしまうような、どうでもいい何の意味もない記憶に変化させてしまいます。
記憶に対する認識や受け取り方を変える
これは、記憶に対する見方や認識を受け取り方を変化させます。
嫌な記憶 → いい記憶 というように自分の意味づけを変化させます。
あれはとても嫌な体験だった。最悪の嫌な体験だった、あれは最悪の失敗の体験だ、人にバカにされているといったように意味づけしていると、何かしようとするときに心理的ブレーキになったりしてマイナスの影響を与えます。
一見嫌な出来事でも、後から見ればあれがあったおかげで成長できたとか、人に嫌なことされたけど、その嫌なことをする人を反面教師として自分は他人に嫌なことをしない優しい人間になれたとか、何かプラスの面を見出します。
そうすると脳の中で、嫌な記憶として扱われていたのが、そうでなくなっていきます。
・記憶の内容を変化させる
・記憶を無力化させる
・記憶に対する認識や受け取り方を変える
あなたが変化させたい過去の記憶によって、どれがいちばんやりやすそうか考えてやりやすいもので取り組んでください。
例えば、中学生の時にいじめられたという記憶の処置をするとします。
・記憶の内容を変化させる
であれば、イメージワークで過去に遡って、いじめっ子にやり返す、誰か強い人を連れてきてこてんぱんにやっつける、といったことをしてもよいですし、
冷静に相手に自分の気持ちやめてほしいということを伝えたら相手が止めてくれた
いじめられずに楽しい学生生活を過ごした
というように変化させるのもよいでしょう。
自分がしっくりくるように変化させることもできます。
しかし、いじめられた体験のような辛い記憶は、変化させることが難しいという人もいるでしょう。
その場合は、
・記憶を無力化させる
記憶そのものを無力化させてしまいます。
あくまで、あなた自身が過去の記憶の影響から自由になって新しい人生を、前に進むために行うことです。
過去を変えるワークの実践方法
今の人生にマイナスの影響を与えている過去の体験の記憶を処置して過去を変えるワークの実践方法を解説します。
記憶の内容を変化させるワークの実践方法
イメージワークを用いて、過去の体験の記憶を変化させる、つまり過去の体験をやり直します。
1人で静かな場所で横になるか椅子やソファなどに座ってリラックスしてください。
ゆっくりと腹式呼吸で深呼吸をしてください。できるだけ息を長く細く吐いて、10秒から30秒以上かけてゆっくり吐き出してください。
数分行って十分にリラックスしたら、イメージの中で現在の自分から、変化させたい記憶を体験した年齢まで遡って行きます。
あなたが今20代後半で働いていて、中学2年の時まで戻るのであれば、今の自分から入社したての頃の自分、大学生の時の自分、高校生の時の自分、そして中学生の時の自分にと戻っていくようにイメージの中で過去に遡ります。
そしてやり直したい、変化させたい記憶の場面を思い出し、あなたが体験したかった内容をイメージしてください。
みんなと楽しく過ごした
いえなかったことを言った
いじめっ子にやり返した
受験に成功した
部活の大会で優勝した
ケンカを仲直りした
人気者でモテた
イメージの中なので何でもありです。実際に体験しているようにありありとイメージしてください。
嬉しさや喜びや楽しさなどが湧き上がってくると良いでしょう。
最初は、そんなわけないと感じてしまったりするかもしれませんが、少しでも何か嬉しい気持ちが湧いてきたらよしとします。
実感が湧かなかったとしても、次にまたこのワークを行うときには受け入れられて来るかもしれません。
ワークを行っても、どうしてもイメージできない、そんなそんなわけない、そんなことができるわけないと感じてしまう場合は、別のアプローチで記憶を処置してください。
そして、変化した内容の体験を十分に味わったら、その当時の自分から1年後、 2年後、3年後、その新しい体験をした自分として成長して戻ってきます。
中学生の時にクラスで孤立してしまったのを、みんなと仲良く打ち解けたとやり直したなら、その体験をした自分として高校生、大学生、社会人になったらどうなっているかをイメージし、その年代を体験しながら今に戻ってきます。
今の自分に戻ったらゆっくり目を開けて深呼吸や伸びをして終了します。
すぐに変化を実感できる場合もあれば、何週間とか数ヶ月後に、知らず知らずにその記憶が全く気にならなくなっているということもあります。
その変化させたい過去の記憶の影響があった残っている場合は再度行ったり、その記憶があるために引き起こしてしまった類似の嫌な体験についておこないます。
例えば、中学の時にクラスで打ち解けられず孤立してしまい、その記憶が影響して人と接するのが苦手になったとします。
高校、大学、社会人でも似たような人と上手く打ち解けられず嫌な思いをするという体験をしたりしていると思います。その記憶に対しても個別に行います。一度のイメージで順番に行うのもよいでしょう。
また、変化が感じられないもう一つの原因としては、影響を与えていると思われる記憶の前に、幼少期の頃に忘れている親から言われたこととか体験が原因になっていることがあります。
幼少期の両親との体験が発端となっていることがとても多いので、このサイトの別の記事で解説している両親との体験をやり直すワークなども行ってください。
記憶を無力化させるワークの実践方法
この記憶を無力化させる方法は、嫌なトラウマのような嫌な体験の記憶に効果があります。
記憶の内容を変化させたり、記憶からプラスの点を見出すことができないような、嫌な体験の記憶に効果的です。
辛い体験の記憶というのは、今後同じ目に合うのを避けるために脳が嫌な感情と紐付かせて重要な記憶として扱います。
これは、動物の本能として外敵や危険を避けると言う本能から来ています。
例えば、幼少期の頃に犬に掘られて噛まれたという体験があるとします。
そうすると、その記憶は恐怖の感情とともに重要な記憶として脳に記憶されて、次に犬を見たときに、犬は危険だから避けなさいという指令が出て身の安全を守ろうとするのです。
今のあなたに悪い影響を与えている過去の体験の記憶も、二度とそのような苦痛を味合わないように、嫌な感情と紐付いて重要な記憶として記録されてしまっているのです。
一方で、歯を磨いたとか買い物に行ったとかのすぐに忘れてしまい、仮に思い出してもなんとも感じない記憶もあります。(こちらの方が多いですね)
重要扱いになっている嫌な体験の記憶を、普段の日常のすぐに忘れてしまうような記憶のように変化、無力化させてしまいます。
実践方法を解説します。
嫌な体験の記憶を思い出してください。
出来れば映像や写真としてその記憶を思い浮かてみてください。
どうしても映像として思い浮かべられない人もいると思います。その場合は何か暗いもやっとしたものや、ドロッとしたもの、黒くて固い石ののような物とか、暗くて冷たい感覚とか、何かその嫌な記憶を象徴するものを思い浮かべたり感じてください。
映像や写真として思い浮か場合も、何か抽象的なものや感覚として思い浮かぶ場合でも、その記憶がどのような感覚がするのかを認識してみてください。
明るさ
鮮明さ
色合い
大きさ
近さ
これらを10段階で書き出してください。
例えば
明るさ:7
鮮明さ:5
色合い:カラー
大きさ:4
近さ:8
といったように自分の感覚や直感で構いません。
次に、
明るさ、鮮明さ、色合い、大きさ、近さ
をイメージの中でいろいろと素早く変化させてみてください。
明るさを0→7→10、明るくしたり暗くしたりいろいろと変化させみてください。
次に、洗練さも、鮮明にしたりぼやかしたり色々変化させてみてください。
色合いも白黒、セピア色にしたり、青にしたり緑にしたり赤にしたり
大きさも大きくしたり小さくしたり、近さも近づけたり遠ざけたり
これをやることで、今まではこの記憶は重要な記憶として脳の中にコピーして記録されていたものが、脳の中で固定されていたものが取れぐらぐらしてる曖昧になってきます。
次に、その記憶のイメージを、あなたが1番しっくりくる方法で処置します。
次のような形であなたが1番しっくりする方法でその記憶を消滅させてしまってください。
宇宙の彼方に放り投げる
小さくなって消滅してしまう
遠ざかって消えてしまう
どんどんぼやけて暗くなって消滅してしまう
ガラスのように粉々になって破壊されてしまう
箱に入れて爆爆弾で粉々に破壊する
他にあなたがしっくりくるようなやり方があったらそれでも構いません。
その記憶を思い出してもうあなたに嫌な気持ちが湧いてきたり、心理的なブレーキなどが無くなっていれば成功です。
これも、ワークをやった直後にすっきりする場合もあれば、数週間や数ヶ月経ってから気がついたらその記憶の影響が無くなってると言うこともあります。
しばらくたってもまだその記憶の提供に振り回されてしまう場合は、もう一度行ってみましょう。
何度か行っても効果が出ない場合は、たくさんある類似の嫌な体験の記憶、幼少期の親との体験の記憶なども行いましょう。
嫌な体験の記憶がトラウマのようになっていて、フラッシュバックのように思い出して心が動揺したりパニックのようになったりする人は、脳がアンバランスな状態になってフラッシュバックに過敏に反応するようになっ状態になってしまうていることもあります。
その場合は、こちらのバタフライハグを日常的に行ってください。バタフライハグは、トラウマのフラッシュバックを抑えたり、脳のアンバランスを整えていく効果があります。
そしてその記憶を手放なせる状態になってきたらこれらのワーク行うのも良いでしょう。
記憶に対する認識や受け取り方を変えるワークの実践方法
これは、記憶そのものは変わっていないですが、記憶に対するあなたの受け取り方や認識を変えるという方法です。
今までは頭ごなしにあれは最悪の嫌な体験の記憶だもう二度とあんな体験をしたくない、消し去りたい最悪の過去、というように思っていた記憶でも、何かプラスの面がないか、認識の変化ができないかということを考えます。
例えば、あの時は嫌な体験だったけど、後からすればあったおかげで自分は成長できたとか、頑張ることができて今がある
あの失敗があったおかげでそれからは慎重に行動することができ、自分は成功することができた
仲間はずれに去れた体験があったから、友達の大切さが分かったとか、プラスに受け取れる
人に嫌なことされたから、嫌な事をされる人の気持ちが分かった自分は二度としないし、その人の相談にのってあげられる
といったように、記憶に対する認識を変化させます。
嫌な体験を、ラッキーな体験のように変えてしまってもかまいません。
就職試験に落ちたけど、そのおかげでもっと条件の良い会社に入れるからラッキー
これはまだそうでなくても勝手に決めてしまって構いません。なぜかというと、脳はあなたが信じたことをそのままyesと受け取って、それに基づいて行動を始めるからです。
脳は信じていることがつじつまが合うように無意識に行動をさせようとします。もっと条件の良い会社の求人に目が止ってそこを受けたくなったりします。脳が信じたことを証明しようとして働いているからです。
歴史のようなことでも、それを話のネタとか笑い話にするという方法もあります。
例えば、小学校の時に人前で発表して間違ってしまい、みんなに笑われたという体験
やった!ウケた!と笑いにしてしまう、
人によっては難しいですが、できる人はやってみてください。
これらを行うことで脳にとっては、嫌な記憶 → いい記憶 という認識になるわけです。
だから、思い出しても嫌な気持ちになることがなくなり、心理的ブレーキなどの悪影響がなくなるんですね。
記憶の内容を変化させるワークと同じように、リラックスして当時に遡り、その体験をした時に、みんなに笑われたけど、人気者になってしまったみたいなイメージをしてみるのも良いです。